博士山(P1444)
個人山行(なんちゃってテレマーク)
【日時】2019年3月24日(日)
【メンバー】M(悠峰山の会山スキー突撃隊)
【天候】 風雪
【山域】 会津
【地形図】 博士山
【実録時間】 琵琶首(標高660m)8:30 − 標高755m橋8:50 − 標高940m 林道9:26 − 標高1170m林道10:23 − P1444m11:17 ― 11:34 − 標高970m12:03 <昼> 12:20 − 標高810m橋12:31 − 琵琶首12:37
同行予定のT隊員から早朝,積雪のために行けないとのこと.
やむなく単独での突撃である.
確かに車に5cmほどの雪が積もっている.
冬のようだ.
磐越道も追い越し車線には雪が積もっている.
会津に入っても雪は降り続いている.
柳津を過ぎたあたりで10cm程度の積雪だ.
早くも除雪をしている.
なんと冬である.
取り付きの琵琶首の祠に至る.
冬のようだが雪が少ない!
少なすぎる!
【取り付き(下は2015.1.2)】
田んぼ道には今朝積もったと思われる雪が10cm程度あるだけだ.
ストックを突くとアスファルトの地面にあたる.
日が差せばすぐに溶けてしまう雪だ.
これであの藪斜面を登られるのだろうか.
ストックをカツカツ言わせながら道なりに歩く.
田んぼ脇の用水路も出ている.
田んぼの段もはっきりしている.
これであの藪斜面を登られるのだろうか.
心配しつつも田んぼ道を半分ほど歩いただろうか,ようやくストックが地面に当たらないようになる.
当たらないようになると,昨日のトレースだろうか,スキーの跡が何となく分かる.
林道わきののり面が出ている.
今シーズンは一度も雪が付かなかったような雰囲気である.
根雪が少なすぎる!
これであの藪斜面を登られるのだろうか.
【鹿沢にかかる橋:標高760m(下は2015.1.2)】
鹿沢にかかる橋を渡る.
琵琶首から登る人は大抵ガイドブックとおりにここで左手の藪尾根に取り付く.
先ほどのトレースもそちらに向かうのだろうと思っていたら,意外にも同じように鹿沢の橋を渡っている.
【田んぼを抜けた尾根への取り付き:標高765m付近(下は2015.1.2)】
雪が十分あれば鹿沢南側の尾根に取り付くところではあるが,雪がないので鹿沢に沿って続く道型なりに鹿沢を詰めていく.
鹿沢はもはや水流が出ている.
今日降った雪がなければ,イワナでも釣ろうかという勢いである.
しばらく見かけなかったトレースを再び発見する.
どうやら,ここを滑っていったようだ.
いや,ここを滑るしかなかったようだ.
このまま鹿沢を詰めようかとも思ったが,この雪の量ではどうなるかわからなかったので,いつものように林道の伸びている鹿沢の左岸側の尾根に上がることにする.
上がることにしたが,これがなかなかである.
新しい10cm程度の雪の下はガリガリ斜面なのである.
勘倉峰,巻機山に続きガリガリ斜面である.
しかも,いつものようにスキーアイゼンを持ってきていない.
スキーアイゼンがあればどうということはないが,それなりに急なので,結構苦労する.
尾根に上がれそうなところを探しつつ,ひいこら登る.
【林道:標高940m】
標高940mのところで,林道に出る.
ここでも,のり面が出ている.
少し,奥に進みすぎたので,林道を少しだけ戻り,杉の植林地を右手に見る尾根に乗る.
乗るが,ここもガリガリで,苦労する.
その先もガリガリガリで大いに苦労する.
風で雪が飛ばされて,ガリガリだ.
標高1070mの林道を横切る手前の斜面はブナが広がってなかなかのところであるが,今回はブナの根元が風で大きく抉られ,しかもそこが急なガリガリで,楽しむ余裕もなくガシガシ登る.
標高1070mの林道を横切ると灌木帯となるが,ここも風で大きく抉られているところがある.
あるが,ようやくガリガリが気にならなくなる.
やれやれである.
【標高1300m付近: 3D】
やれやれであるが,雪は風でパックされている.
風もそれなりに吹いている.
手袋も二重にしたいくらいである.
標高で1300m付近から灌木帯の広い斜面も次第に収れんしてきて尾根がはっきりし,それなりのブナが目立つようになる.
雪庇に気を付けながら南側の縁を登っていると2年前にN潟山岳会とともに歩いた尾根が見えてくる.
P1444m標高点も見えてくる.
【P1444:右奥】
標高1350mからいよいよ尾根は狭まり,雪庇ができた尾根となる.
そして,このコースではここからP1476m,本峰に続く1450mまでのところのブナが素晴らしい.
今日は白い雪を纏って,真冬の装いだ.
実際風もあって,真冬ではある.
【標高1100m付近:3D】
風よけにジャケットのフードを被らないと寒い!
当初はP1476m標高点まで行こうと思っていたが,直ちに本日の山頂はP1444m標高点に変更する.
本峰に続く尾根へは出ないで,P1444m標高点側に右寄りに進む.
P1444m標高点の最後は蜜藪である.
もう少し南側から回り込んだ方が良かったようだ.
【P1444mのブナ】
【王博士】
【本峰(右奥)、P1476m(中央)】
【志津倉山】
相変わらず風雪が厳しい.
長居はできない.
シールを外して準備をしているうちに,王博士や本峰まで視界が効いてくる.
効いてくるが,風が強い.
なにしろ一人である,すぐに滑り出す.
雪は良く滑る.
風による抉れとガリガリに気を付けながら滑る.
気を付けるが,寒さのせいかそれなりに楽しめる.
杉林を抜けるとそれまであった風がようやく気にならなくなる.
せっかくなので,標高970m付近の尾根でお昼とする.
ここで,登ったガリガリの尾根なりに行かず,鹿沢側の斜面を下って940m林道に出る.
ここを滑って分かったが,登りで林道に出るところは,それ以上進むと段差が激しくとても登れたものではなかった.
やはり,いつものように早めに尾根に上がるか,雪があれば更に鹿沢を詰めた方がいいようだ.
【標高760mの橋(下は2015.1.2)】
【志津倉山】
帰りの田んぼ道も良く滑り,うろこ板でもほとんど漕ぐことなく帰ることができた.
雪も何とか車のところまで消えないでおいてくれた.
博士山には何度も来ているが,こんなに雪が少ないのは初めてだ.
今日も,新雪の10cmが無かったら,鹿沢の橋までも行くことができなかっただろう.
その先は,何とか滑られるが,どうやら賞味期限切れ間近のようである.
※ おまけ(道具の話)
働いているうちに最後の道具としてビンディングを最新のNTN規格の「アウトローX」に変えた.
なぜなら,NTN規格のテレマークブーツ「SCARPA TX COMP」が特価品で売っていて,さらに正月の特別10%オフであったので,思い切って以前から気にはしていたNTN規格のビンディング「アウトローX」に変えたのである.
ビンディングはステップインでセットできるのがNTN規格ではこれだけであり,他を使ったことがないのでわからないが,ステップインとセイフティーに関しては断然これまで使っていた75mm規格の「7tm」が優れている.
ウオークとスキーモードの切り替えも「7tm」がやりやすいが,「アウトローX」は屈まないで(厳冬期はうまくいけば)ストックでできる.
ステップインに拘らなければロッテフェラーのフリーライドがいいのかもしれない.
しかし,年を取ると,スキーセットのたびに,いちいち屈むのが面倒なのである.
問題はブーツである.(以下私個人の感想ですので,ご注意ください.)
NTN規格のブーツはコバが普通のスキーブーツと同じであり,75mm規格のブーツのようにだらしなく前方に突き出したみっともないコバがないので,キックステップが断然やりやすい(75mm規格に対して)のである.
更に,ブーツによってはテックビンディングにも対応できる(歩くときにブーツが蛇腹で曲がるので,普通の山スキーブーツよりも歩きやすいかも)ものがあり,山スキーの板とテレマークの板を1足で使える優れものもある.
しか〜し!
最初に買った「SCARPA TX COMP」はシェル全体が固く,ウオークモードはともかく,スキーモードでのちょっとした歩きに全く向いていない!
野山を滑るようにはできていないようだ.
私には無用のものである.
そこで,もっと柔らかいブーツを買うことにした.
3バックルで柔らかいとのことで,数年前の「CRISPI
SHIVER」を格安で購入した.
確かに「SCARPA TX COMP」に比べるとシェルは断然柔らかい!
柔らかいがなんと肝心の蛇腹が固い!
遥か昔,山スキー用に最初に買った「DYNAFIT」の兼用靴より曲がらない.
金輪際曲がらない.
よって,テレマーク姿勢になるには気合がいる.
気合はともかく,最後に使った時の登り(それまでの登りでは全く気にはならなかったが)では,靴が曲がらないために脛にインナーがあたり,終いには激痛が走るのであった.
そこで,普通に曲がる柔らかいブーツを買うことにした.
これまでの教訓を生かすべく,いろいろと調べた結果,今は廃版の「SCARPA Terminator X」を何とか入手し,本日初めて使った.
これまで使っていた75mm規格の「SCARPA T2X」に比べればまだまだ固いが,まあ許容範囲ではある.
許容範囲ではあるがNTN規格で野山を滑り,歩くにはもっともっと柔らかく軽いブーツを作ってもらいたい!
定年後,最後の道具として同一シーズンで3足もブーツを買ってしまった迷える羊(私)をどうか許してもらいたい(妻には内緒!).