平ケ岳・恋ノ岐川

 

【会山行】 oza1
【日時】 201785日(土)〜6日(日)(前夜8/4発)
【メンバー】 3
【天候】 晴れ時々曇り、夕方一時雨
【山域】 平ケ岳、只見川水系
【コースタイム】
85日: 恋ノ岐橋発6:30〜清水沢出合8:30〜オホコ沢出合14:10〜支沢にテンバ設営15:00(泊)
86日:テンバ発6:00〜奥の二俣9:5040m大ナメ滝10:10〜登山道1870m地点11:45(遡行終了)〜台倉清水(昼食)13:45-14:35〜台倉山14:50〜下台倉山15:40〜鷹ノ巣登山口着17:20


今年の一大イベントである恋ノ岐川遡行。癒しの美渓と聞いてはいたが、その長大さと奥深さゆえなかなか手を出せなかった憧れの渓であった。

今回の参加者は釣りのエキスパートのTさんと、当会の若手ホープ、事務局を務めるYさんである。遡行行程の長さや駐車場状況を考え、前夜発とした。又、恋ノ岐橋と鷹ノ巣登山口の距離からして車はそれぞれに置くために2台で現地に向かう。高速のSAで夕食を食べ、小出のコンビニで買い物を済ませた後、国道352号線を福島方面へ走る。シルバーライン〜銀山平を超えると道巾が狭くなり、カーブの連続となる。もういい加減にしてもらいたいと思う頃、平ケ岳の鷹ノ巣登山口に到着する。時間は夜10時頃だが、駐車場はすでに8割以上埋まっていた。軽バンの中で軽く宴会を済ませ就寝する。

翌朝、5時頃に起床。朝の支度と朝食を済ませ、1台の車で恋ノ岐橋に向かう。恋ノ岐橋の駐車スペースには車は一台もいない。どうやら今日は我々だけのようだ。何か問題があるのか?と不安がよぎる。午前630分に出発。橋から川に降りてすぐ入渓するとあまりの美観に先程の不安がふっとんだ。




<入渓地点>

明るく綺麗な空間が広がり、森の中のオアシスにいるようだ。太陽の光が水に反射しとても美しい。




<穏やかで美しい流れ>

暫くは滝らしい滝も無く、水の中を適当にじゃぶじゃぶと歩いて行く。ときたまゴルジュのようなところもあるが、こちらも素晴らしい景観だ。




<ゴルジュ中を進む>

最初の小滝が現れる。難なく超えて行ける。更に15分程いくとHPなどの写真でよく見る2段の滝だ。



<二段の滝>

それからも次々と小滝が現れ、遡行にアクセントが加わり楽しい。橋から2時間程で清水沢出合い。しかし、ここからオホコ沢までが遠かった。


<景観はいいが、だんだん疲れてきた>


小滝と釜を超えて行く内に疲労がたまってきてペースダウン。昼頃到着と思っていたが、オホコ沢出合いに着いた時には午後2時を過ぎていた。ここで写真を撮っていた時に手が滑って“お〜っとっと”と抑えようとタコのように手足を動かしている俺をあざ笑うかのように急流の中にカメラが落ちていってしまった。


<オホコ沢出合い>

ひゃ〜!大変だ。大分水の中を手で探ったが見つからない。諦めた時にYさんが少し下に流されていたカメラを見つけてくれた。九死に一生を得た気持ちになった。“ありがとう。”

そこから先、テンバを探すが適当な場所が見つからない。出合いからしばらく行き、少し焦ってきたところで、Tさんが左岸の支沢に適当な場所を見つけてくれた。


<テンバ設営基礎工事>


テントを張って、焚火を起こす。TさんとYさんが釣りに行く。しばらくすると、Tさんがいきなり尺イワナを釣り上げた。その後も順調で合計5匹の良型のイワナをゲット。刺身と塩焼き、骨酒、荒汁などフルコースです。


  

 <尺イワナ>                                <刺身>


  

<荒汁>                                    <塩焼き>

いや〜堪能しました。山の幸に感謝です。至福の時間を過ごしました。これが沢の醍醐味。

次の朝も4時半起床、テントを撤収し、うどんで腹ごしらえをして6時には出発する。後半はやや沢幅は狭くなるものの、しばらはく癒しの渓相が続く、しかし小滝は難しいものが多くなってきて乗り越しに苦労する。


<けっこう厳しいところも>


突然、目の前の沢を雪渓が埋め尽くしている場所に出る。「ひゃあ〜!聞いてないよ」と思わず声が出る。---- 実際は会のある人から、今の時期雪渓が残っていると言われていた。


<出た!雪渓>

この先続いていたらどうしようと恐る恐る、雪渓を歩くが、奥の二俣までだった。

ここで、左の沢を選択、雪渓から滝にとりつけないので、藪を高捲いて上部に出る。そして少し行くとついに核心である40mの大ナメ滝が現れる。3段からなり他のHP情報などから自分が予想していたより立っている。最上部は結構厳しそうだ。何せ高さがあるのでミスは許されない。3点確保で慎重に登って超えた。




<大ナメ滝40m>

沢も流れが少なくなり源頭の様相となって来る。標高1800mを過ぎ、行く手を阻む小滝を巻こうと小さい沢に入ったついでにこのまま登山道に向かおうと方向転換をする。途中から薮漕ぎとなり、登山道方面へ方向を修正しながら進む。再び一旦、登山道方面に向かう支沢に降り、そこを詰める。最上部まで行き、もがいてガサゴソしていたら登山道を歩く登山者から“滑落したんですか〜”と声がかかった。「沢登りです。大丈夫です。」と平静を装うが足元が滑る中、乗り越えに必死である。登山道まではあと10mもないのだか、笹薮に阻まれ遅々として進まない。ようやく藪を抜け登山道に飛び出した。


<藪を抜け登山道へ>

「ふぅ〜」である。時間は1145分、テンバから6時間近くを要したことになる。

池ノ岳へはもう100mちょっとの登りだが、気力・体力とも限界点に達してしまった為、ここから下山を開始する。台倉清水で遅めの昼食をとり、鷹ノ巣尾根を下った。


<長大な鷹ノ巣尾根>

下りも長いのなんの、急坂でひざがガクガク、足はだんだん痛くなり、疲れで体も重い。雨も降りだした中、最後の林道を歩いて登山口に到着したのは1720分だった。もし平ケ岳の登頂を目指したら、明るい内には降りてこられなかっただろう。




<登山口へ到着>


念願だった。恋ノ岐川。期待通りすばらしい沢だった。体の疲れが徐々にとれるにつれて、きつさは薄れ、素晴らしい景色と、遡行、宿泊体験だけが良い思い出として残ってくる。この沢の中で過ごした2日間は生涯忘れることはないでしょう。又、機会があれば再訪してみたい。


<GPS軌跡>