博士山(本峰)


個人山行(なんちゃってテレマーク,山スキー,つぼ足または藪スキー)

【日時】2015425日(日)

【メンバー】会長,GT(山スキー),M(7tm,カルフガイド),ゲストN(山スキー)

【天候】 快晴

【山域】 会津

【地形図】 博士山

【実録時間】 国道401号線(昭和村標高985m)9:14 − 王博士10:2710:40    博士山本峰 <昼の憩い> 11:1212:50    王博士13:21    国道401号線14:02


先月の高陽山以来の突撃である.

1か月以上のブランクだ.

大きな声では言えないが,2週間ほど前にあごの骨を骨折し,突撃している場合ではなかった.

今も上下の歯に接着した矯正用のワイヤーにより顎を半固定している.

 

ずいぶんとしゃべりにくい.

固いものが食べられず,体重が2Kg以上減った.

こんな場合に突撃していいのだろうか.

いいのである.

リハビリ登山である.

 

国道401号の博士峠は,先週の金曜日にようやく開通したばかりだ.

今シーズン博士山周辺の雪の量は例年よりもはるかに多かったので,時期は遅いが雪は十分あるだろう.

 

標高985mの駐車帯に車を置き,反対の斜面から歩き出す.

どうも雪は予想したほど多くないようだ.




【国道脇からブナ林】


まずは雪がつながっていそうなところを選んで,尾根っぽいところを登る.

雪に押さえられていた小枝が起き上がりだしている.

 

空は青く,雲ひとつない.

風もない.

いつの間にか春真っ盛りである.

 

抜糸をした傷口に紫外線は厳禁である.

テープと日焼け止めクリームで厳重に保護する.

 


【標高1050m付近の尾根】


標高1050mくらいから明瞭な尾根に乗るが,写真のとおり根開きが進んでいる.

慎重に雪がつながっていそうで,登りやすいところを探しながら登る.

 

枝をよけながら,雪の切れ目をよけつつなんとか登る.

久しぶりの登りで息が切れる.

つぼ足隊はさっさと登って姿が見えない.

息も絶え絶えなんとか登る.

 


【標高1180m付近】


標高1180m付近でようやく傾斜が緩み,雪も十分つながるようになる.

標高1200m付近で,1139m標高点に続く尾根に上がる.

この尾根は広いが,意外と雪が付いていない.

ところどころササ藪が広がっている.


【標高1200m付近】


ここまでなんとか雪をつなぎながら登ってきたがとうとう雪が切れた.

ここは,わずかなのでそのままスキーで突破する.



【ここで板を外す.標高1220m付近】


その後も雪をつなぎながら登るが,標高1220m付近で,どうしようもない藪が立ちはだかる.

 

先行する会長により,右側に出ると雪がつながっているとのこと.

できるだけ,右側の登られるところまで登ってから板をはずし,スキーを手に持って20mほど藪を漕ぐ.

テレマーク靴はつま先の出っ張りが邪魔で実に歩きにくい.

藪歩きには向いていないぞ.


【藪を抜けたところ.】


藪を抜けると,会長の言うとおり尾根の東側には雪が比較的多く付いている.

どうやら,東側は下まで雪がつながっていそうだ.

帰りは,こちら側を滑ろう.

 

つぼ足隊ははるか上を歩いていて,すぐに姿が見えなくなる.

板をセットし再び歩き出す.



【ここで再び板をはずす.標高1280m付近】


博士峠からの尾根に出会うところがこのコースで一番の急登である.

雪はかろうじてつながっていそうだ.

 

ブナの木を縫って登る.

青空がまぶしい.

 

もう少しで博士峠からの尾根に出会うというとこで,雪はつながっているが幅が狭く,シールで登るには少々手強いところで行き詰る.

ほかに雪がつながっているところはない.

がんばればなんとかスキーで登れそうではあるが,失敗して再び顎を打ち付けることは許されない.

成人男子としてこれ以上の失態をさらすわけにはいかない.

 

再びここで板をはずしてこの壁を両手両足を使ってよじ登る.

結局このすぐ上で完全に雪が切れていたので,結果的に正解ではあった.

 


【博士峠からの尾根】

再び雪に出たところでスキーをセットし,一登りで博士峠からの尾根にようやく出会う.

もう急登はないし,雪も十分あるだろう.

やれやれである.


【燧ケ岳(中央)と会津駒ケ岳(右)】


ここで一気に視界が開ける.

ブナの梢越しに尾瀬の燧ケ岳,会津駒ケ岳が望める.

進む正面奥には,博士山本峰も白く見えてくる.

 

ここからはもう急な所はない.

雪も十分ある.

青空も十分ある.

快晴である.

青い空にブナの白い肌が映える.

 

青空の下,ブナの林を上へ上へと歩く.

つぼ足隊はもう王博士のあたりだろう.


【標高1420m付近】


広い斜面を登り切ると,青い空にくっきりと真っ白に浮かぶ王博士山頂が見えてくる.

つぼ足隊の二人が待っている.



【王博士:1466m標高点の手前】


ここで,しばし休憩してから本峰を目指す.

 

王博士と本峰の標高差は20mもない.

標高差で100m近く下ってから本峰に至る.

したがって帰りも100mは登り返す必要がある.

今シーズンは何度か博士山を計画したが,結局一度も博士山本峰はおろかいくつかある登山対象の博士山ピークにも至っていない.

ここはリハビリとはいえ,神々が座したという本峰に行くしかない.

 

南北に長い尾根のいちばん北端からシールのまま大きなターンで滑り降りる.

雪は完全にザラメでシールでも滑りやすい.

すぐに1396m標高点ピーク手前の鞍部でスキーは滑らなくなる.

 

1396m標高点のトラバース】


ここからは,北に向かって1396m標高点ピークの西側をほぼ同じ高度でトラバースする.

本峰へ至る北に伸びる尾根なりにじわりと登っていくが,ここでも藪を避けてうまく雪をつなげていく.

 

更に1350m近くまで下ってから黄金沢源頭に広がる素晴らしいブナの林を左に見ながら山頂へと登り返す.

 

ここからはもう藪は完全に埋まっていて白い雪面に立派なブナが広がる.

ようやくどこでも好きに登られるようになる.

 

山頂へとつながる1476m標高点のピークがはっきりと分かるようになると山頂はもうすぐそこだ.


【山頂直下:3D


適当に登っていき,次第にブナが細くなっていつのまにか青い空が大きくはっきりと広がるとそこが本峰ピーク(1489.1m)である.


【本峰ピーク】




【本峰ピークから登ってきた斜面】


【標柱発見,遠景の白い山は飯豊連峰】


本峰ピークはいつも雪堤のように盛り上がっている.

わずかに頭を出した標柱を発見する.

何度か本峰ピークに来ているが初めて見る.

最近建てたのだろうか.

 

風もなく暖かい.

春本番である.

 

誰もいない静かな山頂である.

意外にも最近人が来た気配がない.

神々の頂である.

 

神々には申し訳ないが山頂脇に雪でテーブルをセットし,いつものように昼の憩いに突入する.

まだ固いものが食べられないので,液体と豆腐やカップラーメンなどの流動性食品を一人摂取して元気を取り戻す.



昼の憩いを終え,下山である.

おおむね登ってきたルートなりに滑る.

少々でこぼこではあるが,快適なざらめ斜面を滑る.

最高である.

ここは博士山に一時鎮座したイザナギ,イザナミの神に感謝!である.




【標高1360m付近】


1396m標高点ピークを巻くには,まずは標高1365mくらいまで登り返さなければならないが,角度が緩いのでどうということはない.

問題は1396m標高点ピークを巻いた後の王博士への標高差約50mの登り返しである.

 



【王博士への登り返し】


王博士を見るとシールで滑った跡が光っている.

ここは,うろこ板を生かして大きくジグを切ってそのままスキーで登り返す.

 

なんとか王博士山頂に登り返せば,後は滑って降りるだけである.

1356m標高点までの広い尾根は縦溝ができているが十分楽しめる.

どこでも滑り放題であるが,雪が切れているとまずいので登りルートを滑り降りる.

 

柳沢峠からの尾根と別れた先の急斜面では登りで板を外したところで同じように板をはずし,スキー板を持って標高差で10mほど下る.

 

再びスキーをセットし,後は何とか雪をつないで枝や木のまわりにできた雪の穴にはまり込まないようにお祈りしながら横滑りも交えて滑れば,じきに国道401号に出る.


401号国道脇】


久しぶりの登山どころか運動で,息も絶え絶えあまりのつらさに顎を割った,ではなくて顎を出した.

それでもリハビリとはいえ,なんとか博士山本峰に立つことができた.

リフレッシュもできた.

これも付き合ってくれた仲間とゲストのN山岳会Nさんのおかげである.

感謝!


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