大樽山~アゴク峰~鉾立峰~杁差岳~足ノ松尾根

会山行ku-ninn29
【日時】2007年6月16-17日(土・日)
【メンバー】5人
【天候】晴れ
【山域】飯豊山塊
【地形図】杁差岳・二王子岳
【時間記録】
<6/16>曇り→晴れ 奥胎内ヒュッテ7:51-小休止9:06~9:16-大樽山10:40~10:55-鞍部(960m)11:24-1146m水準点12:24~12:40-小休止(1315m)14:12~14:26-小休止(1435m)15:29~15:41-小休止16:54~17:06-鉾立峰17:41~17:47-杁差小屋18:18
<6/17>晴れ 杁差小屋8:30-鉾立峰9:00~9:15-大石山9:56~10:20-大休止10:55~13:15-姫子ノ峰14:11~14:26-登山口14:57-奥胎内ヒュッテ15:40


 今冬は小雪でもあり奥胎内ヒュッテへの道が早くに開通した。昨年は開通が遅かったので時季を逃したアゴク峰の尾根に今年はチャレンジすることになった。メンバーは昨年のクサイグラの4人プラス健脚ボッカひとりの5人となった。天気予報はうれしい晴れ!だった。

 当初の計画より新潟を1時間早く出発する。いくら日の長い時季であれ7時発は遅すぎると6時に出てくる…これでも十分遅い!!。奥胎内に近づくにつれ雨が止んだばかりという感じになってくる。雲も山肌にくっついて離れようとしない。太陽はどこに行ったの?晴れマークはなんなの?

 大樽山へは奥胎内ヒュッテからのコースを行く。奥胎内橋からのコースが短いが、ヤブっぽい尾根なので大樽山までで疲れてしまうのでは…と少しでも歩きやすい道を行くことにする。このコース、数年前に始めて登った時よりも道が明瞭になっている。それだけ人が大勢登っているのだろう、奥深い山が無くなってきている…と寂しい気持ちになった。

 小休止をはさみ大樽山に着く。いわき市から来たという人たちが休んでいた。本当に開けた山となっていた。雲は厚く、展望もない。ガスが沸いていないので行くルートが分かるだけでも良いのだろうが、天気予報はどうなってしまったのだろう。

 大樽山から縦走路に入る。見事なヤブだった。鞍部までは尾根も細く、木の根っこに乗っては滑り、尾根からはみ出しながら行く。天気の回復は遅れているようで、木々の葉に雨粒が残り、すぐに全身ビッショリになり、休んでいると寒いくらいだった。

 ルートは赤テープやナタ目が至るところにある…が、このナタ目に足が引っかけたり、つまずいたり、挙句の果てには顔を引っかいたりで、情けないの一言。ヤブっぽい尾根と思っていたのが間違いで、ヤブ、ヤブ、ひたすらヤブの尾根登りだった。それも雑木のヤブで、体をへし折り、ザックをくぐらせながら、ひたすら一歩一歩、ひと摑まり、ふた摑まりしながら登る。もちろん視界は利かない。

 縦走路に入り2ピッチ、3時間強でアゴク峰の下、地図上の池マークにやっと到着する。GPSを持っているメンバーが「鉾立峰まで約半分の距離を来ましたね。ここまで3時間ほどだから、あと3時間くらいですね」と楽しそう!?に話しているのを聞き、疲れが倍増しそうになった。

 やっと天気が速度を増して回復してきたようだった。晴れるとまず木々の葉が乾く…と、なんとなくだが思っていた。ところが、そうではないのだ、間違いだった。青空が広がり日差しの中なのに葉は濡れている。特にイヌツゲとウラジロヨウラクの葉がひどかった。歩く前に枝を振り、雨粒を掃ってから進んでいく。ただでさえ濡れているのに、余計な水滴が体全体にもっと回ってしまう。靴の中もびっしょりで、休むとは靴下を絞っていた。



<アゴク峰上部からの鉾立峰>

アゴク峰のピーク群には精も根も尽きた。1435mのピークは岩稜帯で見晴らしもよく快適で、目指す杁差岳も着実に近づいているのが実感できた。また、その頃からヤブも低くなっていたので、気分も明るくなり始めており、17時には鉾立峰に着けるね!などと話していた…ひとつのピークを越え前方を見たら、ラクダのコブのようなピークがまだ数個続いており、目の前が真っ暗になる。

<鉾立峰直下・雲がわくアゴク峰>

ヤブこぎをしながら登るというのは、息が弾まないので呼吸は乱れなく行ける。だが、展望も利かないヤブの中、四肢を目一杯使い、それでも自分が思ったように歩けないというのもストレスがたまるものかもしれない。鉾立峰直下で小休止し、山腹の急斜面を登る。ものすごく急で、ヤブに摑まり足をなんとか上げながら突破する。

 尾根に上がると、鉾立峰には緩やかにつながっていた。これ以上ない青空の下、鉾立峰に到着した。風も爽やかで気持ちよい。あれほど濡れていたウエアもほぼ乾いていた。全身濡れて寒く感じるくらいのヤブこぎが、もしかしたら幸いしたのかもしれない…かな。

歩き始めて9時間50分、大樽山からは6時間46分かかっていた。振り返るアゴク峰のピーク群、なんとか登りきった、よかった…それだけだった。稜線はハクサンイチゲの群落、この時季の飯豊は久しぶりであった。

<アゴク峰ピーク群・奥は二王子岳>

杁差小屋は混雑していた。下は満杯のようなので、私たちは上階に入れてもらう。すぐに雪田に雪を取りに行き、水を作りながらの宴会となった。日が沈み、外に出た時の新潟の夜景のきらめき、満天の星の凄まじさはことのほか素晴らしかった。

翌日は快晴。小屋を最後に跡にし、山頂に向う。360度の展望は鳥海山から越後三山、尾瀬までが一望できた。ハクサンイチゲの咲き乱れる稜線漫歩を楽しみながら、大石山に向う。昨日と違ってゆっくりとした行程だ。鉾立峰から今一度アゴク峰方面を見る。踏破した…ということで、懐かしさがこみ上げ、親しさが感じられた。

二王子岳は新潟から見ると黒々として見えるが、飯豊から見るとまだ沢筋に雪は残って見える。二ツ峰を越えて門内岳までも歩いてみたいルートだ。 大石山から足ノ松尾根を下り、ブナ林の中で昼食とする。ヤブ尾根の後に夏道を歩くとありがたさがよく分かる。幽玄なブナ林の中は深呼吸ができ、やはり昨日のヤブ尾根のゴミっぽさを実感した。

途中で昔ながらの仲間に会った。昨日に胎内尾根を12時間かけて登り、今日はアゴク峰からの支尾根を下るそうだ。そのパワーに脱帽である。昨年登ったクサイグラ尾根は展望がやや利かなかったこともあり、もう一度歩いてみたいと思った。しかし、今回のコースはどうかな?足の打ち身や後日の腰痛、筋肉痛、それに、ブヨに刺され右目周辺が腫れ上がったというオマケが付き、気分が滅入っていたところであった。それにしても、ヤブこぎは上手くならないなあ。

そうそう、足ノ松尾根登山口へのバス輸送、今年はあるのだろうか?奥胎内橋から奥は道が荒れているし、大きな倒木も邪魔しているので、メンテに入いり、再開してもらいたいものだ。

<ハクサンイチゲの群落と主稜線>