南八甲田(横岳)@果たして「あきたびクーポン」で足袋は買えるのか


個人山行(なんちゃってテレマーク)
【日  時】 2023年3月4日(土)
【メンバー】 M,ゲスト4人
【天  候】 風雪
【山  域】 八甲田山
【地 形 図】 南八甲田
【実録時間】 登山口08:40 - 標高1170m付近10:16 <休憩> 11:10 - 登山口11:40



 コロナ2019のまん延以来,仕事以外での外泊は4年ぶりである.
 その満を持しての外泊先は,新日本海フェリーに乗って雪深き八甲田は酸ヶ湯である.
 ここだけの話,内緒で秘密ではあるが勤務先にはもちろん酸ヶ湯には湯治に出かけていることになっている.
 みんな優しく早く体を治してね,と労わってくれる.
 髪の毛も増えるといいね,とも老体を気遣ってくれる.
 これはもう,酸ヶ湯温泉のガイドツアーで粉浴みをしなければならない!
 期待を裏切るわけにはいかない!
 
 ということで,二日間の酸ヶ湯ガイドツアーでは,がっつりと粉を浴びた.
 これ以上浴びると粉あたりのおそれがある.
 おそれはあるが,酸ヶ湯湯治(突撃)作戦最終日の予報はようやく青空である.
 粉まみれの酸ヶ湯ガイドツアーの二日間は前も見えない風雪の中であった.
 ガイド隊長も雪庇から落ちるくらい見えなかった。
 くどいようだが予報は晴れである!
 しかし!その最終日は土曜日とてガイドツアーは混雑が予想される.
 隊員の中にはもう一日,ガイドツアーでもいいのではないか,もう4回くらい銅像コースでもいいのではないかという意見も確かにあった.
 だが,我々の参加で更なる混雑に輪をかけて,ガイドの方々に迷惑はかけられない.
 混雑は万病の元である.
 せっかくの湯治(突撃)で体を壊してはならない.
 
 そこで,ここは予定通り静かな南八甲田は横岳に突撃である.
 過去には城ヶ倉大橋先の広く除雪してある駐車場に車を置いて登った.
 そこから登ると,逆川岳経由で登ることになる.
 記録をみると,その先のトンネル近くから直接横岳に登るルートが紹介されている.
 年寄りは直接という響きにもめっきり弱いのである.
 
 ところがそのルートでは,車は1台程度しか置けないらしい.
 初日の酸ヶ湯に向かう道中,確かに1台だけ置けそうなところを確認した.
 確認したが,青森市在住のU隊員も参加しているので当日の車は2台である.
 車をうまく置けなかったら,いつものとおり城ヶ倉大橋脇の駐車場から登ることにしてトンネル手前の予定地に至ると,何とか2台置けそうだ.
 
 支度をしているとS隊員がここは予定の登山口とは違うことに気付く.
 気付いたが,すでに支度は終わっている.
 予定地は確かにこの先の長いトンネル手前である. 我々の場所は短いトンネル手前である.
 いまさら支度をし直して車を移動してはいられない.
 地形図ではどこでも登られそうだ.
 
 結局,車から30mほど歩いた先の短いトンネル脇から登る.
 登ることになったが,雪の壁が高い!
 スコップまで駆使して,ここはS隊員が先行フリー登攀し,お助けスリングで引き上げてもらう.
 
 【雪の壁をよじ登る.ここでは青空が広がっていた.】
 
 歩き始めは緩やかな切り開きとなっていて,立派なアンテナ塔が立っている.
 そこを抜けると灌木帯となって,多少傾斜が出てくる.
 それもじきに終わり,傾斜が増してくるとブナが出てくる.
 ここも登られているのだろう,ところどころに赤テープがある.
 
 【まずは灌木帯をゆるゆると登る.】
 
 
 【傾斜が増してくるとブナの林となる.】
 
 
 【標高870m付近】
 
 歩き始めは青空であったが,いつしか小雪が舞いだす.
 予報では気温も高く,もともと粉は期待していなかったが,風も吹いてジャケットを着ないと寒いくらいになってくる.
 従って本日も粉である.
 ラッセルを交代したいが,先行隊員のラッセル後を付いていくだけで息も絶え絶えである. 年である.
 
 【標高960m付近】
 
 
 【標高990m付近,オオシラビソが出てくる.】
 
 標高を上げてくると,ブナに混じってオオシラビソの針葉樹が目立ち始める.
 オオシラビソが出てくると風によるツリーホールも出てくる.
 それまでは,適当にどこでも登りやすい角度で歩けたが,オオシラビソが出てくるとそうはいかない.
 風によってできた大きなツリーホールを避けながら無駄なく登らなければならない.
 
 【標高1,030m付近】
 
 
 【真実の口ならぬムーミン現る.】
 
 ゆるゆると登るが風雪厳しく視界も無い.
 初めて横岳に登る隊員もいるので山頂を踏みたいところではあるが,風雪厳しく視界はない.
 おそらくこの上は滑っても楽しめないだろう.
 
 ということで,標高1,170m付近で引き返すことにする.
 年寄りは決して無理はしないのである.
 年寄りは体力的にも無理はできないのである.
 年寄りは楽しくないことには,至って消極的なのである.
 
 【風雪厳しき折,フライで休憩,本日はここまで.】

 時間も早いので,いつものようにフライを張ってしばし休んでから滑る.
 滑るが10mも滑ったところで早速ツリーホールに転落する.
 絵に描いたようにツリーホールにはまる.
 良い子はくれぐれもツリーホールにはまらないようにしよう!
 
 【ここから天国です.】
 
 ツリーホール帯を抜けると,あとはどこでも滑り放題である.
 どこでも粉の滑り放題である.
 ブナの林間に溜まった優しい粉を巻き上げて滑る. たまりませ~ん!
 理性はアンドロメダ星雲の遥か彼方に行っている.
 雄たけびをあげながら滑れば,K隊員から山スキー1級を貰えそうだ.
 
 それぞれ,おいしい斜面を楽しんでいると,どうやら左に寄り過ぎたようだ.
 まあ,このまま滑って道路まで行ったほうが楽しそうではあるが,道路にできた雪の壁が分からない.
 ここはぐっと我慢で方向を修正し,最後はそれなりの沢を越えて登山口の平坦地にに戻る. 大きなアンテナ塔が良い目印だ.
 最後は,よじ登った雪の壁を慎重に降りれば無事帰還である.
 後は粉冷めをしないよう、速やかに200円也の温泉に転進する。
 
 【アンテナ塔の切り開きがゴール】
 
 
 
 今回の酸ヶ湯の湯治(突撃)では青空が覗いたのは最終日の一瞬だけだったが連日粉まみれ,十分粉を堪能した.
 記録を確認すると,20年前から厳冬期の八甲田に来ているが,過去にはやむを得ぬ事情により途中で切り上げて帰ったり,春の守門の餅雪のようなときがあったり,いろんなことがあったが,今回の突撃も楽しい思い出になることは間違いない.
 良き隊員,良き雪に感謝!である
 
 【おまけ】 Caution!
 ここからは山とは全く関係のない話で,少なくともこれからの人生の糧となることはない。
 興味のない人はこれ以降の話に付き合って無駄な時間を過ごさないようご注意いただきたい.
 
 今回の遠征では全国お出かけキャンペーンで,なんと新潟>秋田間の新日本海フェリーが秋田県での泊まり旅行の扱いで,運賃が20%割引の上に,あきたびクーポンが2,000ポイント(円)付いてくるのである.
 まあ,自分で払った税金の一部ではあるが.
 そして,うすうす気づいてはいたが,このクーポン券を使うにはどうやらスマホが必要なようなのである.
 昨年9月に長年使っていた折り畳み携帯式液晶表示移動小型携行電話機が壊れたため,やむなくスマホに切り替えた.
 切り替えたが,ご推察とおり使い方がさっぱり分からない.
 
 分からないところに,そのクーポン券をもらった.
 そのクーポン券にはスマホで使うには,まず裏面をはがして中のデンソー開発の二次元バーコードを読み込めとある.
 スマホが無くても裏紙をはがさなければ使えるとも書いてある.
 書いてあるが,人ははがせるものははがしてしまうものである.
 
 どれどれ,バーコードをスマホのカメラで読み込む.
 ほれほれ,やれば出来るでないの,と鼻の穴を若干広げながら次に進む. パスワードの入力でハイフンで少し躓いたが,あきたびクーポン2,000ポイントを難なくゲットした.
 やればできる出来るではないか.
 スマホも意外に便利なものだ.
 などとほざきつつフェリーに乗船し,早速売店で使ってみる.
 人は使えるものはすぐに使うものなのである.
 
 ビールを片手に売店の担当者に鼻息も荒くスマホを差し出し「あきたびクーポンで」と言おうとしたが,そのクーポン画面の出し方が分からない.
 スマホのどこかにそのショートカットでもあるのかとアプリを探すが見つけられない.
 幸い他のお客はいなかったので,売店の担当者とああでもない,こうでもないと終いにはLINEの読み取りでなぜかポイントが使えるようになった.
 なったが,なぜLINE経由でできたのかは,今も謎である.
 
 その後,スマホ使いのN隊員の分析で,あきたびクーポンはどうやらアプリではなく,ブラウザ上で手続きをすることが明らかとなる.
 ようやくGoogle Chromからあきたびクーポンを呼び出し,残高1,730ポイントを確認し,安堵する.
 N隊員からその画面をお気に入りに登録すればいいとの助言を得たが,お気に入りへの登録が分からないので,こっそりとその画面閉じた.
 結局,再びその画面を呼び出すには履歴から探せばできることに,幾多の葛藤があったことは皆様の想像に任せたい.
 
 そして,横岳下山後に最終の酸ヶ湯湯治(突撃)反省会の開催地秋田市へと戻る道中,後席に私と座ったS隊員が「あきたびクーポンに残ポイントがある.どうやったらその画面を出せるのだろう.」言う.
 それは,「アプリではなくブラウザから出すのですよ,そして履歴から呼び出すんですね.」と再び鼻の穴を心持ち広げながら,さも自分で出来たかのように優しくアドバイスする.
 どうやらS隊員もスマホにはなじみが薄いようだ.
 
 ところが,肝心のブラウザを探すが見つけられない.
 二人でGoogleのまとめフォルダを開いてもChromがない.
 分からないので私のスマホであきたびクーポンを開いてURL「aki-tabi.e-voucher」をGoogleで検索する.
 すると,S隊員のスマホ画面には数かずの色とりどりの「足袋」がヒットして表示されている.
 思わずあきたびクーポンで足袋をゲットするところであった.
 スマホであきたびクーポンを使うときは気を付けよう!
 あきたび詐欺に遭わないように気を付けよう!
 などと悪戦苦闘をしていると,Chromは初期画面の最も目立つ場所に鎮座しているではないか!
 
 ということで,スマホに振り回されたM隊員とS隊員は秋田市某居酒屋において深く反省しつつしめさばとともに夜は更けていくのであった.